再生
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【愛知県】しょうゆ製造販売の老舗、サンビシ(愛知県小坂井町)は28日、子会社が設立した会社がデリバティブ(金融派生商品)取引で多額の損失を出した影響で債務超過に陥ったため、名古屋地裁に民事再生法の適用を申請したと発表した。負債総額は約95億円。及部久嗣社長は記者会見し、辞任を表明した。
サンビシは名古屋証券取引所第2部上場。名証は29日付で同社を整理ポストに割り当て、11月29日付で上場廃止とする。
及部社長によると、デリバティブに失敗したのは、子会社のサンビシ商事が設立したサンビシエイ・エム・エス。及部社長が両社の社長を兼務している。
両社は28日、名古屋地裁に破産申請。これにより、サンビシのサンビシ商事への貸付金など46億2700万円が回収不能となり、20億円程度の債務超過となる見通しとなった。デリバティブの損失額は57億円程度という。
サンビシは本業のしょうゆ製造などでは利益が出ており、2005年3月期決算の経常損益は2億3000万円の黒字だった。事業は継続し、一方で資産を処分して債権者への弁済に充てる。
デリバティブは「利益を得る目的」(及部社長)で1997年から始めた。サンビシは、サンビシ商事への貸付限度額を累計で15億円とすることを取締役会で決めていたが、及部社長は損失の穴埋めのため、これを無視して独断で貸し付けを増やした。
及部社長は「失敗を隠したい気持ちがあった。民事、刑事で責任を問われることもあり得るが覚悟している」と話した。
<サンビシ>1896(明治29)年創業。しょうゆのほか、たれやみりんなど料理用調味料を幅広く製造。現在は愛知県内で住宅販売事業も手がける。現社長の及部久嗣氏は父の敬氏(現取締役相談役)の後を継いで91年就任。05年3月期単独決算の売上高は44億6300万円で、民間信用調査機関の帝国データバンクによるとしょうゆ業界12位。
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